
▶︎ 日本の歴史が詰まった伝統寺院
済渡寺

2022年10月14日、当日はあいにくの曇天でしたが、最高気温20度ほどの過ごしやすい気候でなかなかの散策日和となりました。
集合場所は、公園の北側に隣接している本堂。ガイドしてくださったのは、教化部の執事さんです。
もともとは安泰と万民の平安を祈る祈祷寺でしたが、菩提寺も兼ねるようになり、現在も6人が眠る霊廟があります。
中堂から公園のほうへ参加者の皆さんと歩いていきます。
まず足を運んだのは憩いの空間、噴水広場です。ゆかりのありそうな建物は見当たりませんが……?
実は、もともと本堂はこの噴水広場のあたりに建っていたそうです。先ほどまでいた本堂は、明治維新後に移築再建されたものなのだとか。
奥のほうに博物館の大きな本館が見えますが、なんとかつての本堂は、あの本館くらいの大きさがあったそう。
続けて向かったのは、なんと動物園。パンダを見るために並んでいるお客さんたちの視線を浴びながら中ほどに進んでいきます。
目的地は通常、人が立ち入りできない塀に囲まれた、墓所でした。こんなところにお墓が……!?
何の変哲もないベンチの向こう側に墓所があります。
参加者の皆さんは、このイベントに申し込むだけあり、歴史に多かれ少なかれ詳しい方が多かったようですが、さすがにこの場所に関しては「知らなかった~こんなところあるの!」とテンションが上がった様子です。
3メートル近くありそうな石塔が立ち並ぶ、ある意味異様な光景が広がっていましたが、木々のさざめきと鳥たちの声だけが響く、とても心静まる空間でもありました。
降りる際、遠目に時鐘堂が見えました。
江戸時代の時報として活躍したこの鐘は、石川さんによれば今でも1日3回、朝夕6時と正午に鐘が鳴らされているそうですよ。
一行はさらに通りを歩いて観音堂の舞台の上へ。
朱と黒と金のコントラストが美しい清水観音堂の中で10分ほど小休憩を挟みました。
移築の際、新築するのではなく木材をバラして作業したため、建立から300年以上たった今も使用されている木材は当時のままなのだとか。
今日私たちが公園の文化施設で享受している教養や芸術は、戦争の理不尽さのうえに成り立っていることに思いを馳せる必要があるようです。本イベントに同行してみて、公園の見方が少し変わった気がしました。
参加された皆さんは疲れた表情もなく、どなたからも大満足のオーラが出ていました。同行者のいる方は口々に感想を言い合っていたのが印象的です。
来年以降も開催予定ですので、ご興味のある方はぜひ申し込んでみてください。